服を好きになる過程に関して考えていたのですが、最初は誰もが無難とか、他人に後ろ指をさされないようにとか、そういった標準化を目的として服を買い始めると思うのです。
そしてその後、モテを意識したファッションに移行し、そこで面白さに味をしめたひとが自己追求としてのファッションを求め始める。
そういった過程が、なんとなくメンズの間では共通するのではないか?ということを思い、ちょっとそれをまとめてみました。
意見があればコメント欄にいただけるとうれしいです。
(※ごめんなさい、コメント欄は2013/9/12に廃止しました)

 

■オシャレレベル1「無頓ちゃ君」=ダサくたって気にしない。

  • 服に関してはとりあえず着れれば良い、という層。
  • 気がつけばもうかれこれ5年以上着ている服ばかり。
  • 必要があれば、ユニクロやしまむらで買い足す程度。
  • 買う以外の時に服屋に行くことはない。
  • ブランドではなくてメーカーと呼ぶ。
  • さすがに自分がダサいとは思っているし、カッコよくなりたいとも(少しは)思っている。
  • ただ、めんどくさがり(=手段を知らない)か、モテへの自信のなさからあきらめている部分がある。(金使うし。)

 

■オシャレレベル2「臆病者」=他人の基準で服を選び、無難を目指す。

  • 最初は無頓ちゃ君であったが、友人からダサいと言われたり、彼女(or好きな人)ができたりして、他人の目を気にして服を選ぶようになった。
  • ただ、自分のファッションセンスにはあまり自信がなく、無難に無難に、ダサいと思われないように必死だ。
  • ナンパ野郎の買い物に付いていきたがり、彼の意見を鵜呑みにして服を買う。
  • ブランドをメーカーと呼ぶのは卒業し、知っているブランドも2、3あるが、明確にこのブランドが好き、というのは曖昧。
  • Tシャツ3000円は高いと思ってしまう。5000円以上の服を買うのは大冒険。
  • 中学1〜2年ぐらいだったらファッションに興味をもっている人自体が多くないので、このレベルでも周りにオシャレと思われることがある。
  • 雑誌を買っても、振り回されるだけで何を参考にすればよいか分からずに終わる。(よってほとんど買わない。)

 

■オシャレレベル3「ナンパ野郎」=自分の基準で服を選び、モテを目指す。

  • 他人の目を気にして試行錯誤していくうちに、ようやく自分なりの服の選び方ができるようになる。
  • 好きなブランドやショップもいくつかある。
  • しかし服自体が好きというわけではなく、あくまでモテのための手段としてとらえている。
  • そのため、そこまで服にお金を使うことはしない。正確には、1着あたりの値段を気にする。(シャツなら4000円以内とか。)
  • コーディネートの参考にするため、雑誌をたまに買うことがある。
  • (仮説)モテの基準は時勢によって左右されるため、流行のファッションになりやすい。(だいたいみんな同じ格好をする。)そして臆病者へのインフルエンサーとして機能する。

 

■オシャレレベル4「オシャレさん」=自分の感性によるカッコいいを追求する。

  • 服を買って自分がカッコよくなるのが楽しいと思い始め、服自体が好きになり始める。
  • また、ブランドものを買って身につけた時のテンションに味をしめ、モノの良さが分かるようになる。
  • 上記の過程において、これまで他人志向だった人が、自分の感性(=カッコいいの基準)に従って服を買うようになった人、それがオシャレさんである。
  • シルエットとか素材感とか言い出し、細かいこだわりが生まれるのもこの時期。(自己満野郎とも言える。)
  • このため、服に使う金額がナンパ野郎に比べてかなり大きい。正確には、1着あたりの値段がかなり高くなる。(シャツ10000円でも驚かない)
  • カッコいいの基準は人によって異なるため、ファッションのジャンルは様々。
  • (仮説)カッコいい(=自分志向)の基準は、モテ(=他人志向)の基準ほど時勢によって左右されないので、ファッションの各ジャンルにおいて一定数常に存在し続ける。
  • 往々にして奇抜な格好になるため、他人には理解されないことも多いが、オシャレだなーとは思われる。
  • たまに「奇抜な俺イケてる」とか、「高いもの着てる俺イケてる」という基準のもとで服を買う人がいるが、それはオシャレさんではなくてナンパ野郎なので注意が必要である。
  • 次のファッショニスタになれない人は、おじさんになってからナンパ野郎に回帰することがよくある。

 

■オシャレレベル5「ファッショニスタ」=ファッションへの愛と知識を追求する。

  • 服が好きになりすぎて、服の見た目だけでは飽き足らず、デザインコンセプト、デザイナーの経歴、縫製工場など、背景知識を知りたいと思うようになる。
  • 上記背景知識をベースにし、新しいブランドを好きになったりもする。(服オタとも言える。)
  • 服をライフワークとして捉え、頻繁に買い物に行ったり、雑誌で最新の情報を仕入れたりするなど、常にアンテナを張っている。
  • 好きなブランドはセールで残り物を安く買うよりも、受注会に参加して予約したりする。

 

こうして分けて考えてみると、既存のセレクトショップ、ファッション通販サイトの戦略がよく見えてくるような気がします。
例えばこのメンズファッション+という通販サイト。

サイトのディスクリプションは以下のようになっています。

男性服の通販サイトなら「メンズファッション+」。【挑戦しない!】【失敗しない!】【無難カッコいい!】をテーマとした『モテ服』を目指したファッションをご提案。他サイトでは珍しい、全身コーディネート販売も行なっております。

このように、レベル1「無頓ちゃ君」をターゲットに、レベル2「臆病者」、さらにはレベル3「ナンパ野郎」への移行ニーズをとらえた通販サイトになっています。
「無頓ちゃ君」、「臆病者」の課題の1つである、ファッションの勉強コストという面に着目している点がとても上手いですね。

私個人、5段階に分けてみて思ったのですが、レベル3「ナンパ野郎」からレベル4「オシャレさん」へのギャップがとても大きい気がするのです。
要は、ここで「他人志向」のファッションから、「自分志向」のファッションへと移行します。
自分志向のファッションは、答えが自分の中にしかないため、ブランド、デザインの好みが明確になり、ファッションに使う金額がナンパ野郎に比べて格段に高くなります。

ここの移行の鍵になるポイントは、多少個人のパーソナリティ、つまりデザインに対する感性であったり、自己愛(=ナルシズム)であったり、そういった要素もあるかと思うのですが、一番大きなポイントは、ちょっといいブランドの服を買ってみること、その経験があるかないかということに尽きると思うのです。
値段の高い服を買って、着てみることで初めて、その服のデザイン性だったりとか、素材の良さだったりとか、洗練されたシルエットだったりとか、そういったことが伝わり、街を歩いているときの高揚感につながります。

そこに味をしめるか否かという話だと思うんですけど、まあ、そもそもちょっといいブランドの服を買ってみるという経験をしてもらうこと自体が、難しい話ですね。。